ユーザーレポート、ギター改造 、自作ギター事例集 – Part 4

このコーナーでは貴方のレポートを募集しています。又、もし貴方のサイトで気合の入ったレポートを掲載しているのならこちらからリンクさせて下さい。

楽器に限らず音楽・芸術の評価というものは所詮個々の主観でしかないのでどんどん無責任なレビューを送って下さい。別にテレキャス限定じゃないですよ。中古ギターを買う際の参考にもなるので古いギターも歓迎します。ただしちょっと上からっぽくて失礼だとは思うのですが、当サイトのレベルをKEEPするために 以下のようなガイドラインがありますのでご理解のほどよろしくお願いいたします。

投稿ルール:

(1) 初心者禁止
(2) ギターはテレキャスターに限定しませんが、単なる「俺のギター自慢」じゃダメ
(3) 買ったばかりの楽器レポートはダメ
最低でも一ヶ月は弾き込んでから評価して下さい。買ったばかりだと嬉しくてやたら良く思えたり、逆に、その楽器のクセ・うまい付き合い方がわからなくて過小評価してしまったりするからです。

 


USA52RI vs MEX Classic ’50s Tele
by Katsumi (管理人)

イギリスのGUITARISTという雑誌にUSA52RIとMEX’50s Teleを比較した特集があったので少しだけ抜粋して紹介します。

結論から言えば当然USA52RIの勝ちとなっていましたけど、その差はほんのわずかなものでした。ではMEXはどうすればUSAに近づけるのか、もしくは超えられるのかを私の無責任な想像を交えて解説していきます。

  USA 52 RI MEX’50s Tele
BODY 2ピース プレミアムASH 4ピース ASH (*1)

RIの「プレミアムASH」とは、そういう名前の木がある訳ではなくFenderが勝手に最高級のクォリティの材をそう呼んでいるだけ。4ピースくらいなら材さえ良ければ音的には問題無いです。どうしても嫌な人は1ピースか2ピースの良質なBODYを買って取り替えればOK。 (宣伝になってしまいますが量産品を超える一流パーツが欲しい人はTCTギターパーツをよろしくお願いします!)ちなみに本物のvintageは1ピースもあるけど2ピースか3ピースが多いです。

(*1) 
ここは「たまたま雑誌がテストしたギターは4ピースだった」位に読んだ方が正解。自分のは3ピースだったというオーナーさんからの報告もいただきました。

  USA 52 RI MEX’50s Tele
重さ 3.75Kg 3.5Kg

おっ?MEXの方が軽くていい! ・・でも固体差の大きいASH材だから0.25Kの違いなんて無いも同然ですね。

  USA 52 RI MEX’50s Tele
マシンヘッド クルーソン・タイプ (Gotoh製) クルーソン・タイプ

USAはGotohですか・・。うーん・・Gotohのチューナーは米国では原則評判良いのだけれど何故かクルーソンスタイルのだけは(少なくとも私が関わっているギタービルダー達の間では)評判悪いです。MEXの「クルーソン・タイプ」は正体不明だし・・  どっちにしても使えるのならいいけど、もし問題があったらWDが売ってるKlusonに変えた方がいいかも。

  USA 52 RI MEX’50s Tele
塗装 ニトロ・ラッカー ポリエステル・ポリウレタン

ラッカーだからUSAの勝ちみたいに書いてあったけれど、これについては宗教戦争にまで発展しかねないからあまり言いたくないのだけど、ポリだって良い音のはあるし、ラッカーだってカスみたいなギターはあります。要はそのギターがトータル・バランスとしてどれだけの素質、性能を出しているか+プレイヤーの腕なので、「ポリだから負け」とするのはあまりにも短絡的だと思います。

ちなみにUSAのこのモデルはラッカーと言いながら実は下塗りにポリが使われています。でも日本市場にはオールラッカーのもあるし、米国内でも大手楽器屋の特注バージョンとしてオールラッカーのが存在します。

値段 良質な材料を使っているにしても、52RIの値段をつり上げている
最大の要因はUSAの人件費である。

つまりMEXは人件費が安いので良いギターでも安くできるという訳。しかし! そもそもメキシコ人の仕事を侮ってはいけない。例えば、数多くのすぐれたVintage GuitarのネックやBODYを造ったTadeo Gomez氏だってメキシコ人なのだから!

  USA 52 RI MEX’50s Tele
ネック 52年Vシェイプ 「50年代」とされているが57年のものに近い
記事 テストした2本はどちらもすばらしい出来だった。

しつこいようだが固体差があるので買う時はせめてフレットのエッジの処理がきちんとしたものを選びましょう。でも、さすがにRIで「なにこれ?」という物は今まで見た事がないです。それにしてもMEXのネック・シェイプはテレキャスのDiscussion Pageとしてはおそらく世界最大であるTelecaster Discussion Page Reissue に「もう最高!」みたいな投稿がよく見られます。

  USA 52 RI MEX’50s Tele
ブリッジ サドル ブラス製 steel製
記事 RIはブラスを使って音質的に正しくオリジナルを再現している。どちらもチューニングが完全には合わないので妥協する必要がある。

ちなみに私はこの「合わない」サドルを妥協して使うのは絶対にイヤ。チューニング問題を解決するために角度が付けられている3-Wayサドルにさっさと交換しましょう。

なんかブラスの方が高級っぽい感じがするけど、ブラス製かSteel製かは音が違うので単に「個人の好み」の問題です。

一般的な傾向としては:
Steelの方が硬い材質なのでサスティ-ンが少し長く、明るめの音。
ブラスはSteelよりは暖かく、丸い感じの音質・・だそうです。

  USA 52 RI MEX’50s Tele
Sound 少し曇ったような音はアンプを通すと非常にパワーのある音となる。中域がより多く高域がほんの少し少ない。 Pureなシングルコイル サウンドはエフェクトのノリも最高だ。配線がオリジナルと同じなので非常に不便だ。テレキャスの魅力である2つのPUを同時に使ったサウンドが出せないのも困る。

 

(しかしRIを買えばこの配線を現代のテレと同じにする改造パーツがついてくる)

アコースティックに「ほとばしる」ようで且つ「きらきら」した音。アンプで鳴らすと驚いてしまうほど。日本製のかん高くて鋭すぎる音ではなく、ハード・ロックにもカントリーにも使えるような、もっと太くて、木の音がする。

 

フロント:
Hendrix toneにさらに高域と低域を足したような音:つまり、透明で明瞭な音だ

Middle:
すばらしく太いサウンドでクリーンなものならなんでも、例えばFunk, Pop, そしてBrent Mason風の新しいカントリーの音にもぴったりだ

コストパフォーマンス この値段でこれだけのクォリティなのでMEXの勝ち。それでも正しくて良質な材料、塗装で造られたRIを高すぎるとは思わない。

いや、だからUSAのRIの塗装は正しく無いんですってば。。

RIとMEXは目指している物が違うようですね。RIはVintageの再現を狙っているので、不便な点(配線、チューニングが合わないサドル、二つのPUの音量差)までも忠実に再現しています。

FenderもRIに現代風配線図と「実戦用改造キット」を付けてくる所を見ると、せっかく高級素材のギターなのだから骨董品として飾ったり磨いたりするだけでなく、バリバリ使って下さい!という気持ちがあるのでしょうね。

MEXの方はオールドっぽい音で安くて、しかも「ちゃんと実戦で使える」ギターを皆様に・・という姿勢のようです。ところでこの雑誌に書いてあったのですが、イギリスではFenderは昔、中堅クラスのVintage シリーズは日本製だったのだけど1999年からメキシコ製に変わったらしいです。で、日本製とメキシコ製を比較するとメキシコ製の方がより良いネック、より良い塗装、そしてなによりもPUの質で日本より「圧倒的に」勝っているんだそうだ。
(な・・なにおー! ぐぬぬっ・・・)



Katsumi(管理人)
Guitar Player誌(April/2000)のテレキャス・レビューより抜粋です。

U.S.Fat Tele
72年から82年までのハムバッキング付きテレは2tone  2volumeだったが、このモデルはトラディショナルなコントロールを採用している。多くのハム+シングル PU付きギターは音量バランスが非常に悪いのだがこのギターはそこもうまくできている。

さらにハムの片方のコイルをキャンセルしてシングル・サウンドにすることもできる。セッティングには5種類あり、それらの全てが美しいバランス、プレゼンス、良質なVintage Teleのようなアコースティックな広がりがある。

フレットは最近のモデルらしい太目の物だ。

「職人魂」で造ったという感が全体的にみなぎっており、ハデなピックガードも塗装ミスの全く見られないきれいな 2 toneサンバーストとよく似合っている。

Fat Teleはその名が示すように、Vintageのすばらしさプラス・アルファというギターだ。 カントリーのパキパキ感からロック系の力強いサウンドまで出すことが出来る。そしてそれは他の多くの「新型」テレキャス達が求めているのだが、なかなかこのレベルにまでは達成できないでいるのだ。

ここまでホメてると欲しくなってしまいますね。
・・・・という訳でスペックはこれ:

Body : Alder
PU neck : Fender DH-1
PU bridge : American Standard Tele
5-way PU selector :
(1) Neck hum
(2) Neck single
(3) Neck hum + bridge
(4) Neck single + bridge
(5) bridge

このギターはピックガードの下に大きなルーティング加工が施されている。 センターPUを追加したい人には良いかも知れないけど私は意味のない穴は嫌いです。

Bodyはおそらくこの時代なのでラミネートBodyを使っているのでしょう。

でも音はバッチリらしいので、もしこれを買うならBodyを良質なAlderかASHのに変えて使うのが吉。

 


Katsumi(管理人)
New Yorkの楽器屋さんをハシゴして試奏してきました。試したのは以下の3機種です。

American Standard Telecaster (Alder Body)
  四本くらい試したけど、どれも音は明らかにテレキャスでした。 (音に関してはハズレは無かったです)ネックは現代風の仕様なのでとても弾きやすいと感じました。

フレットの横がはみ出していてスライドすると手がいたいというやつが1本ありました。

PUの音量のバランスはRIと違って問題ありませんでした。(これが当たり前なんですけどね)

不透明塗装Bodyをある角度から見ると、明らかに3ピースと判る物と全くつなぎ目が見えない物とがありました。つなぎ目が見えない物は間違いなく表と裏にラミネート材が貼ってあるモデルです。

American Standard Telecaster (Ash Body)
  一本しか楽器屋になかったです。 アルダーから持ち換えると非常に軽く感じました。 しかし、軽いという事以外にはアンプからでる音はアルダーBODYの物と特に変わる事が感じられませんでした。
(すみません。これは静かな個室でじっくり比較すれば多分わかると思います。そもそも初めての楽器を初めての部屋、初めてのアンプで少しだけ試すような試奏では、微妙な差とか楽器のクセなんて、まずわからないです。おおまかな雰囲気とか傾向を捉えるのが精一杯です)ASH BODYはナチュラル・フィニッシュのみ。値段は100ドル位高いけど、これにはラミネートBodyは絶対存在しないので精神的に安らかになれるかもしれない。(でも、なかなか美しい木目のやつってないんですよね)
 
52 Telecaster Reissue
  これも一本しかなかった。噂どおりフロントPUに切り替えると「えっ?ちょっと聞こえませーん!」と言われそうな位パワーがない。( こういう困った所までしっかり再現している)

 

Vintage仕様を再現したネックは狭くて指板のRがキツいから慣れていない人は最初は違和感大きいかもです。(ま、すぐに慣れるんですけどね)

この固体、弾いているとネックまで振動しているのが感じられギター全体で鳴っているという印象がありました。確かRIはプレミアム・ASHをBODYに使っているので、こういう所に差があるのかもしれませんね

配線を今風にする改造セットも付いて来るという話だから、私だったら絶対に改造します。あと、Vintageに忠実な3サドルのおかげでチューニングが正しく合わないから斜めサドルもGETするべきですね。

アメスタに関しては、いかにもテレキャスという音以外にもセッティング、弾き方次第で今風の音がいくらでも出せました。 全く異なった個性のPUが2個あるのと、それらの組み合わせや、ボリュームやトーン・コントロールが使い物になる等、私の持っているストラトと比べてもサウンド・バリエーションが多いくらいです。

まとめ:
ギターは固体差がかなりあるのでハッキリ言って一本試しただけではわからないと思います。
ASH BODYモデル(52RIやアメスタのASH BODY等)なんかは、それぞれ重さも違うし当然音も変わるでしょう。フレットの横がギザギザでスライドすると手が痛いっていうやつも別にめずらしい話ではないです。ま、自分が欲しいモデルの中から、作りがしっかりしてて生音がいいと思うやつを買えばいいのかな?Pickupや配線は後で取り変える事もできる訳ですしね。

以上、独断と偏見のレポートでした。

 


Telecasterの試奏テスト・レポート

Dr.K氏が1999年Guitar Magazine誌でテレキャスの試奏テストを行いました。全部を掲載すると著作権等で問題がありそうなので、ここでは参考までに一部のみ、それも大体の要点だけをまとめてみました。

52 Telecaster Reissue
  音が太い。本物のビンテージほどパキパキしていない。バッキングや渋い曲には向いている。

90s Tele Thinline
  パキーンとくる、”これぞテレキャスター”って感じの音。ホローボディのせいか、ディレイやリバーブのノリが良い。ボディも軽くて良い。 トーンを最大に回して回路を切る時にカチッていう音がするのが気になる。

American Standard Telecaster (Alder Body)
  お手軽にパキーンという音が出せる。リアにくらべてフロントはかなり控え目。(音量のバランスはOK)聴けばすぐにテレキャスとわかる音を持っている。

US.Fat Tele
  持った感じちょっと重い。5way selectorでいろんな音がだせる。サウンドは”FAT TELE”という感じがする。

TL52-80TX Fender Japan
  ヌケがいい音。パキパキしててテレキャスらしさを感じる。ビンテージ特有のフロントのパワーの無さまでは再現していないので、現代のギターとして使いやすそう。

以上がDr.K氏の評価の一部でした。

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